2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
フォト
無料ブログはココログ

ブログの起点

15年も前の事など

« 在庫材 | トップページ | フリクションセーバー到着 »

2007年6月26日 (火)

この樹なんの樹♪

日立という総合電機メーカーのテーマソングだったか、なかなか善い歌がTVCMで流れるようになってから、もう何年たつだろう。

 あの歌で「なんの樹?」と歌いこまれている樹は確かアメフラシの木(*1)とかネムの木の一種とか聞いた記憶があるが、遠望して平らに広がる樹冠の形状がユニークで他の木と区別がつけ易そうだ。  

樹形での識別という事で思い出したのだが、関越高速道路を走っていると、その県のシンボル樹のシルエット・イラストが県境の橋などに標識表示されていることに気がつくことがある。 具体的には群馬の黒松。 このシルエットはよくデフォルメされていて、確かにこれはクロマツだという事を直感させる好い感性の標識になっている。

 黒松と赤松の区別は樹形から判断するのが簡単である。 昔は黒松を雄松、赤松を雌松と呼ぶ習慣があって植物学者の書く本には雄松は主に水辺に生えるとしたものがあった。 しかし、それは随分と狭小な観察体験から得られた知見にすぎないものであったらしい。
 プロの世界で実際の黒松・赤松の区別は、実は新芽の色で区別するのだということはずっと後になってから教わった。
 アカマツとクロマツとの中間雑種があるのだということもその頃に知ったのだが、数年かけて松の翠やその頂きに咲く紫系色の雌花がマツボックリに成長してゆく姿を観察していると、実はその翠の芽の色での区別というのも結構怪しげなものではないかと思うようになったりする。

 本筋はやはり、上空へ雄雄しく枝を伸ばそうとする雄松(黒松)と、頂上付近で平らに緩やかな曲線を描く枝ぶりの優しさを持った雌松(赤松)という識別が正しいんぢゃないかと思っていたりするから、自分ながら困ったもんだ。

 荒地に最初に進出する樹種(パイオニアプランツ)である松と共に、雑木林の主役は楢の木だと言って過言ではないだろう。 明治期に作成された5万分の1縮尺の日本地図に残された往時の植生をみると、東北蔵王の山頂あたりにまで草地の識別記号が置かれている。 それに続く楢の杜は楢山節孝などで知られるように日本各地に広く行われてきた植栽の履歴であるという。

 川越近辺の農用林に自生する楢の木はコナラである。 歴史的にはミズナラの木もあったとされているのだが、生育して人の目につくほどの大きさになった楢の木はまず100%コナラだけである。
 コナラに対する呼称として、水楢はオオナラと呼ばれることがあるが、近年、関西のカシノナガキクイ虫害で枯損して各地で騒ぎになっている楢の木はもっぱらこのオオナラの木のほうだと聞いている。 カシノナガキクイという虫は雌が口の袋に持ち歩く菌を木の幹中に繁殖させ、その結果として生まれるモノを食物にして繁殖するのだとか。
 京都の山でキクイムシの穴にヨウジを差し込んで対策研究をしているというTV報道があったが、あれは雌が穴の中から雄を呼ぶという知見から導かれた対策案の1つなのだとか。

 ま、そういう話はおいといて。

 かつて楢はジャパニーズオークとして輸出され英国家具に加工されたという話だが、オークってのは樫の木にも使われることのある名前なんだから、本当はどっちの木のことなんだか判んないという事もあるんだろう。
 樫の類をエバーグリーンオークと呼ぶアーボリストと出会うことがあるが、なるほど、彼は年間を通して木を見たがっている人だと感じることがある。

 かつて川越にもオオナラが生えていた事は、実際に里山手入れで杉を伐採し陽が入るようになった林床に芽生えた極めて葉柄の短いコナラのような苗を実見してはじめて納得できた。 それまでは知識としての植生しか知らず、ミズナラは標高600mクラスの木、コナラは平地に生える木、と承知していたに過ぎない。
 おそらく、このミズナラのルーツは家康入府以後の関東平野で、東京湾(江戸湾?)に流れ込んでいた利根川を太平洋側に移設する空前絶後の国土開発や、荒れ狂う荒川の治水の時代にあって、3本の苗木を与えられてこの地に入植したとされる農家の時代先端の工夫の植栽になるものだろう。  宋の制に倣ったという指摘も一部にあるが、もしそれが知恵を裏付ける汗と精神の意味を忘れた指摘であれば、ただ失笑を買うだけの「知識」で終わることだろう。
 その歴史を思えば、この日溜まりに芽生えたミズナラの苗の不恰好に大きい葉や異様に短い葉柄の持つある種の滑稽さにも、限りない思いが溢れてくる。

 関越高速での帰路、同じ県境には一目で「欅」とわかる埼玉県のシンボル樹標識があって、吾が埼玉のケヤキの姿、これもなかなかのデキぢゃないか、と妙なところで感心する。
 本当はつい先ごろまで、ケヤキって木も杉と同じように密植して育て、間伐して収穫するんだって事さへ知らなかった癖に(汗)。

 ふと、一昨年の大型スーパー建設予定地の伐採現場へ材としての欅を貰いに行って、一緒に行ったオヤジがその木肌の模様をみてすっかり桜の木だと勘違いしていたときの擦れ違った会話を思い出した。

 そう、桜というキーワードで芋づる式に浮かび上がってくる記憶をたどると、桜が伐採されたことに抗議しようとして、その桜の年輪を数え、本当の年の2倍に勘定していた若者の事が改めて思い出される。 
 杉檜のように明確に年輪を数えることができる樹種と、桜のように複数の年輪(?)が入り混じって「年輪」の意味が違ってくる樹種とがあるのだという基本知識の欠落が、彼らの感じた開発伐採という人間の営為に向けられた憤りの表現をすっかり力無いものにしてしまっていた。  導管を持つ広葉樹の中にも散孔材と環孔材の区別があるという事は弁えておいてほしかった。

ん。

 なんで今日は朝っぱらからこんなことを書いているんだろ? と思ったら、昨日のBLOGに黒檀さんからいただいたリョウブ(令法)に関するコメントが引き金になっていたことに気づいた(笑)

 リョウブという木の葉のつけ方には特徴があって、常にその枝の先端に集まる。 サルスベリという言い方をする地方があるのは昔からよく承知されていることで、それは間違いというものではなく、木の名の地域性と呼ぶべきものに過ぎない。  葉序とはまた意味の違った「葉のつき方」でリョウブをシャガ(*2)のたぐいと区別することは実に容易である。 

 そう、黒檀さんの言うとおり、材になってしまった樹の名というのは実に判りにくい。 幸い、サルスベリという材は表面が硬くしっかりとした材であるのに比べ、リョウブの木の肌際はなんとも水っぽいことで辛うじて生木のうちは両者の識別が可能だろうか。

 いずれにせよ、つまるところは、その出所を信用するかどうか という話に落ち着くのだろう。 まあ、川越の周辺にシャラの樹の類を探すとなると、どうしても公園の植栽や個人の庭木に限定されてしまうという肌感覚をもっている私としては、ちょっと切ないものがある。 

補記 6月27日 里山定期清掃活動のついでに

 言葉で説明するのは面倒になったので、シャガ(*2)とリョウブの生きている木としての姿を写真にした。 シャガは川越近辺で探すと公園植栽の中にしかみつからない。 リョウブの浅根性は自爆テロ(笑)もどきの戦略といわれることもあるほど。 草でいうならコスモスのように、自分で他の木の上に倒れこんで、横になったその幹から太い枝を伸ばして拡張しようとする木でもある。 当然だが、そうなった木は周囲の状況とのバランスを見て伐採することがある。

Ryoubu_1  シャガや百日紅(ヒャクジツコウ)を伐採するのは持ち主に何か事情が生まれた場合などに限定される。

リョウブの葉は枝先に集中してつく。

Shaga 

シャガ(*2)類の葉のつき方は全く異なる。

*1  2007.6.28 アメフラシというのは記憶の誤り。 南米では雨の木と呼ばれているとのこと ハワイでの名はOhai モンキーポッド。 単に名前を知ることと、その木を知ることの間には余り深い意味ある関係はないだろう。 

*2 シャガと書いたがシャラ(サラ)の誤用。 地元に自生しいない木にまで関心を寄せることは少ないので気をつけることがなかったのだが、メールで指摘してくださる先輩が居られた。 細やかな木づかいに感謝。

« 在庫材 | トップページ | フリクションセーバー到着 »

文化・芸術」カテゴリの記事

森を視る」カテゴリの記事

樹に登る」カテゴリの記事

コメント

 この木何の木気になる木♪♪・・・ヤマのフクロウさんこんばんわ。
 リョウブは秩父の山に沢山あり持ち帰りましたが、百日紅やシャラの木は庭木で植えてますが、切って材にする等全く予想外・・・材にするとどうなんだろう???。
 さてと、メールを出そうかと迷いましたが・・・立派なブログに書き込ませて頂きます。 森サポのHP動き出しましたね!。何時かブログで見た枯れ木が表題を飾ってますが・・・”森が泣いてる”のイメージですか?。森林のHPの多くは、”清浄な森”のイメージが強すぎるので、現実の山の姿を現しており・・・私は”いいな!”と思います。監督の指示のもと、私もお役に立てればと思ってますが、前にも御相談しましたが、活動記録のHPから私はお手伝いを始めようと思ってます・・・御指導の程、宜しく

山仙人さん、久しぶりです。
 先日の平成19年度総会には欠席しましたが、その分、HP移転作業に集中してました。 仙人さんの参加をアテにしてのことですので、なにぶん宜しくお願いします。 あ、アテっていう言葉も針葉樹のアテと広葉樹のアテの違いなどの話題につながりそうな・・・なんとも危うい感性の持ち主になってしまいそうです(汗)
 今日は完全に蕪しきってしまった吾が畑の草引きに半日つぶしました。 畑の胡瓜苗のまわりの雑草が余りに凄いので今日は坪刈りで(^^!誤魔化しましたが、なんとも体の数が足りない落ち着いて穏やかな(笑)老後生活でござります。
HP掲載作業、事務局と打ち合わせた上でそろそろ着手、よろしくです!

 え~とですね 勘違いされても 少しも困ることはありませんが 材にするために樹木を伐った事は 一度もありません
 何かの都合で伐られて捨てられてしまう樹木がもったいなくて何か作れないものかとターニングや木工作の材料にしています
 ebony は黒檀とか黒人とか黒い物に関した意味があるようですが 無理に和訳しないで良いと思います

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/102810/15562140

この記事へのトラックバック一覧です: この樹なんの樹♪:

« 在庫材 | トップページ | フリクションセーバー到着 »